ところで、世の中にはいろんな容器が存在しますよね。
でも放射能濃度測定で使用できる容器は、限られています。
例えばご家庭にあるタッパーでもって、
「いよっしゃ! 放射能はかったるでぇ!」
などと息巻いても、現実的には難しいのですよ。
放射能濃度測定の、正確さを確保するためには……
密封性など色~んな条件を満たした容器に、
拡張不確かさの小さい、国家基準に準じた標準物質を詰め、それを基準に校正する事が必要です。
放射能にも、ちゃ~んと基準が存在するんですよ。びっくりしました?
それを「標準線源(ひょうじゅんせんげん)」って呼ぶんですが……もう本当に大変!
測定を行う為には、測定器だけじゃなく、基準も用意しなくてはいけないんです。
しかもこの基準。どこでも売っているわけではないので……
「アイソトープ協会さんが売ってる体積線源しかだめよ!」って国は言ってるわけです。
もしくは、ISO17025でテスティングされた物を、標準として扱うしかないんです☆
これ以外で許されるのは、JCSS相互認証のDKD(ドイツの基準)等の標準物位です。
そして測定を行うためには、
これらの標準物質が入った容器と、同一のものじゃないとダメなのであります。
この時点で、ず~いぶんお金が懸る事が予想出来たでしょうか?
本当に、朝○新聞の記者がびっくりする位、ある程度の資本が必要なんですよ。
さらに、校正の時間や方法について、基本的に国からの指示はありません。
また、この効率校正……諸条件で10%程度の差が生まれてしまいます。
校正って聞きなれないかもしれませんが、ピアノの調律の様なものです。
ピアノと同じで、放射能測定器にも調律が必要とされます。
その校正に用いるのが、標準線源です。
「でもメーカーになら、その辺りは任せて大丈夫でしょ!」
な~んて考えていると、痛い目をみちゃいます。
これほど体積線源が高価で、標準物の種類がない中で……
環境試料などを測定する事を、多くのメーカーは想定してません。
だからこそ数値の指定を、GEと限られたLaBr3しか、国は認めていないのです。
そういった事をきちんと認識しておかないと、ゆくゆくとんでもない事になりますよ。
ここまで読んできて、
「ならゲルマニウム半導体検出器でやれば、なんでも正確なの?」
と思った方もいらっしゃるかと思います。
でもですね、そんな我々に「NO!」を叩きつける存在がいるんです。
はい、御存じの通り、お上です。 ははー!
まぁそれもそのはず☆
標準線源が詰まった容器と同じ容器に、「とりあえず検体を押しこんで測定しとけ!」
な~んて事になったら、測定業界がえらいことになっちゃう。
つまり検体加工に関しても、色々と規程が存在するのです。
そして、この検体加工に関しては、
それぞれの機関のノウハウ的なものが集約されているといっても、過言ではありません。
ここでは、葉物野菜を例に考えてみましょう。
さて、どう加工しますか?
弊社ではフードプロセッサーは、まず使いません。
もしセシウムなどか検出してしまった場合、「さよなら」しなくてはいけないからです。
当然、高い代金を支払って頂き、限りなく下限値を落とす場合は使います。
でも使い捨て。
なぜかって?
それはフードプロセッサーに残ったセシウムなどが、交差汚染(こうさおせん)を引き起こす可能性があるからです。
これは結構深刻な問題ですよ。
「うちの畑のお野菜、大丈夫かな?……えっ! 嘘! でとるやん!」
本当は放射性物質が含まれていない野菜が、フードプロセッサーに残ったセシウム等で汚染され、
「検出」と報告されてしまう可能性を、限りなく低くするためです。
も・ち・ろ・ん☆
機関の方針や、目的・用途に基づいてフードプロセッサーを用いるのもアリです
ただ、弊社の場合では、そういった方針を持っていない事だけ認識頂ければ幸いです♪
洗剤で洗ったところで、放射性物質は簡単には取れないので。
なので、弊社では簡単に捨てることが出来たり、
拭き取り効率が高く、面粗度の良い金属の包丁と、使い捨てのまな板を用います。
この様に、使い捨て可能な備品を用いて刻み、
2Lのマリネリ容器に詰めた結果、1.4kgも入ってれば、葉物なら御の字です。