放射能濃度測定に使用可能な測定器と共に、標準線源を用いた校正や、交差汚染を防ぐ具体的な方法を説明しています。

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放射能濃度測定について(後)

認められている機器

さぁ、前半で機器の特性などが明らかになった所で☆
後半戦参りますよ。

放射能濃度測定器。
色んな種類がありましたが……ピンポンパンポーン……ここで現実からのお知らせです。

実はですね、
測定器であれば、どんなレベルの測定も行える訳ではないんです。

放射能測定であれば、どんなものでも言い訳じゃない

厚生労働省の「緊急時の放射能濃度測定のマニュアル」に準拠した形で、 認められている機器は、まずはGE(ゲルマニウム)半導体検出器。

そして、LbBr(ランタンブロマイド)3の中で、特にエネルギー分解能が良いものが、
輸出時の証明書や、国内の検査においても認められるものになっています。

それ以外の検出器に関しては、
法律的にはセシウムが25Bq/kg以上か、それ以下かの判断しか、しなくてよい事になってます。

放射能濃度測定のマニュアルに準拠

この決まりは、機器特性によるものなんですね~☆
とにかく放射能濃度測定を行う機器は、正確性を確保するのが非常に難しいのですよ。

標準線源


ところで、世の中にはいろんな容器が存在しますよね。
でも放射能濃度測定で使用できる容器は、限られています。

例えばご家庭にあるタッパーでもって、
「いよっしゃ! 放射能はかったるでぇ!」

などと息巻いても、現実的には難しいのですよ。

この容器じゃ無理

放射能濃度測定の、正確さを確保するためには……

密封性など色~んな条件を満たした容器に、
拡張不確かさの小さい、国家基準に準じた標準物質を詰め、それを基準に校正する事が必要です。 放射能にも、ちゃ~んと基準が存在するんですよ。びっくりしました?

それを「標準線源(ひょうじゅんせんげん)」って呼ぶんですが……もう本当に大変!
測定を行う為には、測定器だけじゃなく、基準も用意しなくてはいけないんです。

標準線源

しかもこの基準。どこでも売っているわけではないので……
「アイソトープ協会さんが売ってる体積線源しかだめよ!」って国は言ってるわけです。

もしくは、ISO17025でテスティングされた物を、標準として扱うしかないんです☆
これ以外で許されるのは、JCSS相互認証のDKD(ドイツの基準)等の標準物位です。

そして測定を行うためには、
これらの標準物質が入った容器と、同一のものじゃないとダメなのであります。

この時点で、ず~いぶんお金が懸る事が予想出来たでしょうか?
本当に、朝○新聞の記者がびっくりする位、ある程度の資本が必要なんですよ。

さらに、校正の時間や方法について、基本的に国からの指示はありません。
また、この効率校正……諸条件で10%程度の差が生まれてしまいます。

校正って聞きなれないかもしれませんが、ピアノの調律の様なものです。
ピアノと同じで、放射能測定器にも調律が必要とされます。

その校正に用いるのが、標準線源です。

標準線源

「でもメーカーになら、その辺りは任せて大丈夫でしょ!」
な~んて考えていると、痛い目をみちゃいます。

これほど体積線源が高価で、標準物の種類がない中で……
環境試料などを測定する事を、多くのメーカーは想定してません。

だからこそ数値の指定を、GEと限られたLaBr3しか、国は認めていないのです。
そういった事をきちんと認識しておかないと、ゆくゆくとんでもない事になりますよ。


放射能濃度測定について(後)

ゲルマニウムで測れば、全てOK?


ここまで読んできて、
「ならゲルマニウム半導体検出器でやれば、なんでも正確なの?」
と思った方もいらっしゃるかと思います。

でもですね、そんな我々に「NO!」を叩きつける存在がいるんです。
はい、御存じの通り、お上です。 ははー!

まぁそれもそのはず☆
標準線源が詰まった容器と同じ容器に、「とりあえず検体を押しこんで測定しとけ!」

な~んて事になったら、測定業界がえらいことになっちゃう。
つまり検体加工に関しても、色々と規程が存在するのです。

そして、この検体加工に関しては、
それぞれの機関のノウハウ的なものが集約されているといっても、過言ではありません。

ここでは、葉物野菜を例に考えてみましょう。
さて、どう加工しますか?

葉物野菜の加工

弊社ではフードプロセッサーは、まず使いません。
もしセシウムなどか検出してしまった場合、「さよなら」しなくてはいけないからです。

当然、高い代金を支払って頂き、限りなく下限値を落とす場合は使います。
でも使い捨て。

なぜかって?
それはフードプロセッサーに残ったセシウムなどが、交差汚染(こうさおせん)を引き起こす可能性があるからです。

これは結構深刻な問題ですよ。

「うちの畑のお野菜、大丈夫かな?……えっ! 嘘! でとるやん!」

本当は放射性物質が含まれていない野菜が、フードプロセッサーに残ったセシウム等で汚染され、 「検出」と報告されてしまう可能性を、限りなく低くするためです。

も・ち・ろ・ん☆
機関の方針や、目的・用途に基づいてフードプロセッサーを用いるのもアリです

ただ、弊社の場合では、そういった方針を持っていない事だけ認識頂ければ幸いです♪
洗剤で洗ったところで、放射性物質は簡単には取れないので。

放射性物質 流せない

なので、弊社では簡単に捨てることが出来たり、
拭き取り効率が高く、面粗度の良い金属の包丁と、使い捨てのまな板を用います。

この様に、使い捨て可能な備品を用いて刻み、
2Lのマリネリ容器に詰めた結果、1.4kgも入ってれば、葉物なら御の字です。

まとめ


さてさて、前後半にわたった「放射能濃度測定」の回。
如何でしたでしょうか?

正直に申し上げます。
一度で理解するのは無理です。

もしそんなスペシャルな才能をお持ちの方がいらっしゃったら、下までアクセス!

リクルート

ご応募お待ちしております。笑

冗談はさておき、知識を取り入れ、定着するために必要な事☆
それは同一情報を、繰り返し脳にインプットする事です。

その様な過程を経た結果。
徐々に頭の中に思考経路が出来て、ふっとした瞬間に理解できる時がくると思います。

多分! きっと! おそらく!笑

だから一度で理解できなくても、あきらめずに繰り返し読んでみてください。
ではでは皆様、また次回。

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