内袋 ~交差汚染を防ぐ~

「コンタミネーション(交差汚染)」について書いていきます。
僕からのメールで、公差汚染とか書いたことは多々あるんですよ~。
けれども一度も説明していなかったりもするので、必要かなと思いまして。

「交差汚染(こうさおせん)」

交差する汚染ってなことで、字面通りですが・・・分かりにくい!
簡単に言うと、作業なんかを通じて、汚染が広がっちゃうことです。

放射性物質に関して言うならば、汚染された検体の放射性物質が、容器や備品などを媒介にして、汚染されていない検体に移っちゃって、アラ大変!泥鰌(どじょう)が出てきてこんにちは!ってな感じです。

さくっと書きましたが、これは結構深刻な問題なんですな。

なぜなら、測定員が交差汚染なんかさせちゃって、汚染していないものを汚染させちゃった揚句、それを報告書に記載しちゃった場合・・・

その測定所は「アウト!!!」ですよね。社会的な意味で。

まぁ、そんなわけで測定においては交差汚染には、もの凄~く気を配らなくちゃいかんのですよ。

ではでは、その交差汚染を防ぐ為に、何が大切でしょうか?
それは「測定に用いる備品は、全て使い捨てにする」ってことなんですよ。

例えばですよ、汚染した食品を細かくするために、包丁を使いました。
その包丁をそのまま用いて、汚染していないものを細かくしました。

すると、どうなるか分かりますね?
汚染した食品内の放射性物質が、包丁を媒介として、汚染していないものに移ってしまうんです。

それを測定なんかしちゃったりして、

「キャー!放射性物質よ!」

なんていうコントが起こってしまうんです。
これが交差汚染の実態ですね。

今は包丁を例にしましたが、容器に関してはどうでしょうか?

汚染した土壌をいれていた容器。
それをそのまま使って(まぁさすがに、そんな傾奇者はいないでしょうが)、汚染していない土壌を入れて・・・

「キャー!放射性物質よ!」

なんて事態は、結構あったりなかったり。
なかったりあったり・・・

さてさて、今まで読んでいた人で、

「備品にしろ容器にしろ、水で洗えば問題ないのでは?」

と思った方も多いかと思います。

でも水洗いは万全ではないのですよ、これが。

放射性物質は、そんな簡単には落ちないのが現実です。
洗剤を付けてキュッキュキュッキュ洗っても、高濃度の放射性物質の場合、全てを落とし切るのは困難です。仮に落とし切る事が出来たとしても、完全に洗い流せたがどうかを確認するのも一苦労なわけです。

イザナギなんかは、穢れを水で流しちゃったりして、そこから神様を生み出しちゃったりしてますが。まぁ、「ひゃっほ~イザナギ最高!」ということで。

そのためにも、放射性物質を扱う備品などは、全て使い捨てにする必要があるのです。包丁も、ハサミも、手袋も、そして当然容器も。

しかし容器はかなり特殊な形状をしています。
一個何千円も、中には何万円もする容器も僕らは扱っています。

そんな容器を一騎当千の武士みたい、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ・・・
じゃなかった、使っては捨て、使っては捨てなんて出来ません。

ですから内袋(うちぶくろ)というものが、必要となってきます。
たまに僕が内袋うんぬん言ってるのは、そのことなんですよ。

その内袋の重要性を説明する為に、今の状況をまとめてみま~す。

・容器に直接汚染物を入れると、容器が汚染する。
・容器を使い捨てにするわけにはいかない。
・水洗いでは放射性物質を全て洗い流せない。

内袋ちゃんは、そんな上記の三点を見事に克服してくれます。

そうです!!!
容器にポリ製の内袋を被せ、その上から検体を詰めるのです。

そうすれば検体が容器に直接触れることはなくなります。
結果として、容器の汚染を防ぐことが出来るのです。

まぁ僕たちの検査場では、そんな内袋を独自に設計して、使い捨てにして使ってま~す。ちゃんちゃん。

ちなみにこの内袋なんですが、メーカーなんかも開発していますよ。
でもメーカーから購入すると、うん千円は平気でします。バブリシャスですね。

実際に一から作るとなると、かなりコストが掛かってしまうものです。

しかし交差汚染を防ぐ為には、容器を使い捨てにするわけにもいかず、かと言って水洗いも万全ではないとなると、仕方がないことなんですね。

ちなみに、世の測定所の多くは内袋なんか使わずに、市販のポリ袋を被せている所が多いみたいです。(メーカー調べ)

でもそれでも十分とは言えないんじゃないかと、僕は考えたりしてます。
という訳で、実際にポリ袋と内袋の違いを見てみましょう♪

下の写真は、2Lのマリネリ容器に同一の検体を詰めた写真になります。

マリネリ内袋

まずは充填量の違いが、ポリ袋と内袋の違いになります。

左側の市販のポリ袋を容器に被せた場合は、「1735.4g」
右側の内袋を容器に被せた場合は、「1820.5g」

約100g程度違ってくるんですが、こりゃまた何故でしょ?
続いて容器を下から見た写真をご覧くださいませ。

マリネリ内袋

↑こちらが内袋を被せた容器を、下から映した写真になります。
う~~ん美しいですね。「トレビア~ン,ムッシュウ」と言っておきましょう。

市販のポリ袋

で↑が、ポリ袋を被せた容器を、下から映した写真です。
なんだか沢山線が入っていて美しくないですね。

お肌も曲がり角を迎えた感じでオーマイガット!

並べてみると、更にその違いが分かります。
(左側 内袋 右側 ポリ袋 )

マリネリ容器の隙間比較

つまりポリ袋だと容器にジャストフィットしないため、空隙が至る所で生まれてしまいます。

結果、容器の充填量も少なくなって、密度が低下してしまうんですよ。
密度が低下してしまうと・・・・皆さん大注目の、下限値が上昇してしまう事に!

あな恐ろしや、恐ろしや。
密度神さま、恐ろしや。

他にも、ポリ袋で困る点は、その耐久力の無さ。
ポリ袋ちゃんは、敏感ボーイです。
その敏感具合ときたら、思春期の少年以上といってもよいでしょう。

その為、ちょっとした事で傷つき、揚句の果てに破れます。
特に容器から取り出す時なんかは、グイっと掴んで引っ張り上げますので、まぁ大変。

結果、知らず知らずのうちに、検体がポリ袋からはみ出る事はザラです。
対策としては、ポリ袋を二重にする等の手もありますが、そうすると充填量は、当然ながら更に下がります。

そんなこんなで、ポリ袋を使うのは、かなりリスキーな部分が多いと言えます。
よって専用の容器には、ジャストフィットした内袋を被せるのが一番だと個人的には考えています。

他にも交差汚染を防ぐには、検体を扱う場と、検査室を分ける事が必要です。

まぁ当然ですよね。
検体を扱う場所では、放射性物質がきゃっきゃわいわいしているというのに、その場で検査なんかしちゃった日には、測定器事態が汚染されちゃいます。

容器などの備品のみならず、測定器事態も汚染から守る事。
これは交差汚染を防ぐための、基本中の基本となってくるのです。

さてさて、そんなこんなで「交差汚染」の説明を終わりたいと思います。

測定所を選ぶ場合、そんな交差汚染をどのように対策しているかに着目する事も重要という訳ですね♪

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